なおぼうけん

日々を探検したり、掘り下げていきます。

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

雁渡、腕を覆う布

心と秋の空 秋は過ぎ去るというよりも、通り過ぎているような感覚がある。夏を出た、という感覚は特にない。気がつくと袖を捲っていなかったり、外に出る前に一枚多く身に纏うようになった時、冬に辿り着いている。そこで吹き付ける風に耐え忍ぶように、春を…

やわらかい雨が浜風に乗って

心と秋の空 あるところで揉めている人たちの姿がクローズアップされると、それに知らない人が参加して各々の意見や感想を言う。そのためのアカウントを用意することもあるらしい。裏アカウント、それが個人を特定することができないという意味だと思われてい…

卒業

心と秋の空 何かを始める。そのハードルは年々高くなっている気がする。心のどこかで毎日の積み重ねがやがて実を結ぶと信じていて、そしてその日進月歩の道のりが楽ではないことを察知している。ただ生活するだけでも楽ではない。人生は長いようで短い。今か…

どこから来たものを、指で受け流す

心と秋の空 友達からニュースサイトの記事のリンクが送られてくる、ということが、最近では珍しくない。むしろ挨拶の代わりになってすらいる。今日は僕の好きな野球関連のゴシップが飛び出してきたんだな、とか。オフィスに着くや否や同僚が話しかけてくるよ…

傘をひらく、ひろげる、さす

心と秋の空 なぜ女心と秋の空、などと女性が接頭しているのだろう。アナクロな表現であることに、無自覚で居続けたのだろうか。 ふとそんなことを思いながら、ぽつりぽつりと降り出した雨をしのぐように、着ていたパーカーのフードを被った。近くの薬局に行…

知っていたら、やらなかった

残暑はもう終わりました 肌を駆ける風が少しだけ冷たい。もうすぐ感想と寒さが街を支配する。 季節の移ろいを感じることは、僕が外を走る動機の1つになっている。家に走る機械があればそれを使えばいい、というわけではない。 ペースを何も考えずに走ってい…

見つめる先に

残暑はもう終わりました 「何も取り柄がない人が社会でやっていくのに必要なのは勤勉さと従順さだ」 そんな美徳を信じ、仲間が集まると、異端を恐れては美徳を守るために排除した。 これもそうしたかったのだろうか。足を踏もうと振りかぶった様子が傍目に入…

喉元を通れば熱さを忘れる

残暑はもう終わりました 佇まいは穏やかで、その戸を引くまではサラリーマンでごった返しているなんて想像もしていなかった。 一様に白いシャツを着ていて、サンダルにTシャツの僕をまるで学生でも来たかのうような目で、彼らは見てくる。同じ服を着ている方…

冷房の風に吹かれて

残暑はもう終わりました 木目の床に、黒い液体が静かに滴っていた。その上の方で、完全に熟したバナナが萎れている。 ああやってしまった、と思い項垂れるのも面倒で、手から動かすようにティッシュを探し始めた。 黄色かった頃の面影をその形にしか留めてい…

見上げた空に

残暑はもう終わりました 日向に出るのが躊躇われるような外の世界に足を踏み入れた途端、側を一台の自転車が通り過ぎた。 危険を感じる間も無く、彼は誰かが注文したであろう食事を運んで行った。 こういう日は何をどうしても気が立ってしまう。 次第に人の…

照りつける日差しの中で

残暑は、もう終わりました もう少しすれば、きっと金木犀の香りが前から訪れるだろう。背中を伝う汗がTシャツを湿らせる。コンビニの冷風が当たった。 心地の良さがすぐに寒気へと変わる時、季節の厳しさを改めて想う。 夏は店内で、冬は店外で感じることだ…