かすで夫丈大
大丈夫ですと答え続けた。そう言うことができない、それが道を踏み外すということだと思っていた。
ふふ、あんた本当に大丈夫なの?
大丈夫じゃないと打ち明けた。そう言う機会は限られていると思っていた。
お手洗い以外では用を足してはいけない。漏らすなんて、人として間違っている。
大丈夫、誰もきっと見ていやしないよ。
その場をやり過ごしていくことも、得意なところを見出しては活かしているうちに、次第に快感に変わっていった。
きっと全てが正しい。私は間違ってなどいない。大丈夫。
もう大丈夫、ここまで来たのだから。この先も信号を守って、安全運転を心がけよう。
「大丈夫ですか!」薄れゆく意識の中で、灰色の霞が目を覆う。大丈夫ですと言おうとしても、口からそれは出てこない。
もう、頑張らなくても大丈夫なんだ。
あの時はもうダメだと思ったんだから。今は大丈夫なんですか?あったりまえじゃない!もうこの通り、大丈夫よ。
手を合わせ、心の中であの人に告げる。夕飯の買い出しに出た。ポイントカードはお持ちでしょうか。
いえ、大丈夫です。