なおぼうけん

日々を探検したり、掘り下げていきます。

日射・キリン・蝉

2020/08/21

f:id:nochinaoto:20200823112859j:plain

日射(Solar radiation)

日陰を歩道にしながら上野の街を歩いた。終わらない梅雨の雨が去ったと思えば、それが強い日差しに変わっただけで、街ゆく人の表情は相変わらず険しいままだ。 最近の天気は極端で、ちょうどいい季節が少ない。もっとも、表情が険しいのは暑さだけが理由ではないだろう。

激しい日差しが照りつける街は白んでいて、公園のベンチで時間をつぶすサラリーマンの姿をみたが、耐えているように見えて、楽をしたいのかどうかよくわからないような状態だった。

こんな暑さで、これから見る動物たちが本当に外に出てくれているのか不安になってくる。

ペンギンやシロクマがいるみたいだけれど、本当に大丈夫なのだろうか。

キリン(Giraffe

動物園の中に入ると、シャンシャンがお出迎えしてくれた。あら小さいと思っていた時からもう2、3年経ったからか、大きく、そして立派になっていた。 両手でひたすら笹を食べていて、夢中とはこういうことをいうのだ、と小さな納得をしたのだった。

園内の地図を見た。見たい動物は沢山あって、でもいちばん見たいものは1つに決まっていた。 きっと仲の良い先輩に聞いても同じように答えてくれるだろう。

キリン一択だ。

なぜ惹きつけられるのかわからない。首が長いからだろうか。いつか跨いでみたいと思わせるからだろうか。

15時にはオリの中に帰っていく、ということを知らず、最後にそのことでショックを受けるのだが、入り口を入ってすぐの地図を見ている時はそんなことを露も知らず、ただワクワクしていた。

小さな子が園内をかけていて、僕はその横を歩いた。きっと同じ気持ちだろうと想った。

蝉(Cicada)

動物園にきてゴリラを見た姉が、お父さんにそっくりだと言った話は実家で鉄板の笑い話になっている。 姉は小さい頃から特徴を捉えるのが得意だったんだろう。

都会も都会なのに蝉が鳴き乱れている。いろんなところからその音が響いてきて、思わずぼうっとしてしまう。 暑さもあったのかもしれない。 懐古するようなことばかり思うのも、そういうことが原因しているように感じた。

歩き疲れ、冷えた水を買い、キリンのオリの近くでベンチに座った。 もうお家に帰ったのだからしょうがない。僕も帰ろうかと思っていたところだった。

何か気難しい話をしているような家族がいた。表情は硬く、嫌な予感を感じさせた。 知りもしない家族に余計に肩入れをしているような気持ちになって、なぜかその様子を眺めてしまっていた。

相好を崩した様子を見ると、急に僕もほっとして、その場を後にした。 持っていたペットボトルの水はもう温くなっていた。