王・ウイニングラン・痺れ
2020/08/13
王(King)
くに、と読ませたいのか、読み仮名ではなくただ一連の名前になっているのか、そういう店が吉祥寺にある。通学中に気になっていて、今日初めて入ることができた。 いまいちな気がしつつもタイムアップを迎えた企画書を提出して、それでもほっとしていたのは否めない。そんな気持ちもあって、良いものを食べようという気持ちになっていた。
この夏は四六時中野球の情報が入ってくる。春が嘘のようだ。午前はメジャー、やがて高校野球が、そして夜になるとプロ野球の結果をチェックする。 飽きないのかと言われることも増えてきた。そう言われるぐらいになると趣味としては確立したなと思える。
注文した刺身定食が来るまでの間も例に漏れず野球をチェックする。速報がなければ個人成績を、その成績に更新がなければかつての誰と同じぐらいの成績なのかを見る。 かつての記録を現代野球と比べるのはどうかと思うが、それでもその記録に匹敵する打者が現れたりするから面白いものである。
刺身定食が来た。わさびの量が多いところでなぜかここは良い店なのだと察し、一口食べてやはりそうだと思った。
スマホをポケットにしまって、奥の方でよいしょに勤しむ男性の声を聴きながら食事した。
ウイニングラン(Winning run)
かいつまんで話すことができている人をあまり見たことがない。 途中で堰を切ったようにどばどばと話す姿はきっと、講評会の風物詩となっているのだろう。
ふさわしい人が選ばれないとこれが下手の長談義になってしまうのだから、そうなっていないのは評価の正当性を示しているようで、もやもやとした感覚だけが自分の中に残った。
プレゼンが始まる。暗くなった部屋で僕はコーヒーを一口飲んだ。
あまりの長さに、コーヒーを飲んだことを少し後悔した。
痺れ(Numb)
野球ファンがプロの結果をどうこういうところは夏の風物詩の1つだ。暑さや仕事のストレスで、なぜか野球の結果に厳しくなることがしばしばある。 とにかくスポーツが好きで、それを通じて心を通わせているのであれば、とりあえずは良い。
人に厳しくあり続けると自分が参ってしまう気がするのだが、人は鈍感である。
過ぎたるは及ばざるが如し。この言葉の意味を覆水盆に返らずと同じような意味で使う。
帰り道、ビールと辛いラーメンを買って家に着いた。僕もかなり疲れてきているのだなと実感する。
痺れを切らしたようにマーラー味のスープを飲んだ。