なおぼうけん

日々を探検したり、掘り下げていきます。

ピーマン・安飲料・解像度

2020/08/09

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ピーマン(Green pepper)

夢の中にいることはわかっていて、現実と行き来していることもわかっている。その感覚にあって、ある刹那、時計を見てハッとする。 予期せぬ瞬間で、体の動きも非常に軽快になる。

寝坊したのだ。歳を取ったなりの落ち着きがあるのは皮肉なもので、それなら早く起きろという質問はしない決まりになっている。

兎にも角にも鞄を手に取って学校へ向かった。ギリギリ間に合う時間なので、そこまで焦る必要がなかったのは唯一の救いだ。

何も食べずに過ごす午前の時間は長いようで短いようで、ぼんやりと流れていった。 うまいこと対応できたと思えるのはその時だけで、振り返ってみればそうではないことに気がつくのだけれど、その時はその時。

楽天的な性格も時には役立つ。

お昼休みに入ると、一目散に学生食堂に向かって、ピーマン定食を注文した。何が来るのか想像がつかなかったけれど、確かにピーマン定食、というものが来た。

安飲料(Reasonable beverage)

定食を食べ終わって外に出た。髪に炒め物の匂いがついていて、不用意に鼻をついた。 外の熱気と混ざって、必要以上の満足感が押し寄せる。

それから逃げるように、梯子するようにコンビニに立ち寄る。冷房の風が当たった。それが柔肌を撫でた、といえるほど、僕は若くない。 最後のコンビニで、100円にも満たないお茶を買った。

運送業者が荷下ろしをしている。その横を通り過ぎ、汗とも生乾きとも言えない匂いが鼻をついた頃、僕の額にはうっすらと汗が滲んだ。

水滴が滴るお茶のペットボトルを掴み、キャップを回した。終わりとも始まりとも言えない区切りをつけるように、一口だけ飲んだ。

エレベーターホールに向かう。徐々セミの音が遠ざかっていった。

解像度(Resolution)

大学の教室に戻ると、食事もそこそこに、PCに向かう人の姿があった。悩んでいるのはやり方だけ、という雰囲気があるのは、その横に立派なアイデアスケッチがあったからだろう。

座席につき、お茶を机においた。僕もPCを立ち上げる。 途中になっている作品を改めて眺めると、偶然の産物のようなものにしか見えなくて、何にも悩んでいないように見えた。

それをやるのだけれど、それをやっているようには見せないこと。

夕方、見栄えだけはそれなりになったグラフィックが出来上がった。完成をした、と思うことはただの1度もなかった。

その後の講評は30分だったにもかかわらず、僕には2時間にも、3時間にも感じられた。

喉が乾いていないのに、僕は何度もお茶を飲んでいた。