イヤホン・門限・のどぐろ
2020/08/02
イヤホン(Earphones)
例えば部活へ向かう時、途中でイヤホンを外して外の音を聴いていないと、落ち着かなくなる時があって、イヤホンを外す。 それで落ち着くというわけではない。
それ以上無秩序な気持ちになることだけが防がれる。なんとなく現実逃避しているような気持ちになるのが嫌なのだ。
そう感じなければイヤホンを外すことはないのに。
音楽は好きで、背中を押されることも多いはずなんだけどな。
雑踏の音を聴きながら、キャンパスに向かう。改札のトーン音がやけに響いて聞こえた。
門限(Curfew)
今日は課題を完成させる日だ。締め切りは16時。どう時間を使うかは、すでに決めてきた。
その通りなるだろうかという不安があるようでない感覚があった。この感覚でいる時は、ほんの少しを積み上げる気持ちが切れなければまず大丈夫だ。
10時、11時、12時と時間が経つにつれ、順調に作品が出来上がっていった。完成予想時刻は15時30分と見た。 不思議な高揚感がある。
こういう時は本当にその通りになるものだ。イメージがあるからそうなったのか、たまたまなのかが本当にわからない。
15時30分、作品ができた。
予定は予定通りにいかない流れの例だったはずだから、その通りに行くと呆気ないものだと、肩透かしを喰らったような気持ちになった。
キャンパス内で時間を潰しながら、そうだアイスでも食べようとそこを出ようとした。
出口まで行くと、あと10分で出ることはできるけれど、入ることはできないと書いてあった。アイスはお預けだ。
教室に戻り、ふわふわと浮かんでいる雲を眺めながらもう30分だけ、そこで過ごした。
のどぐろ(Blackthroat)
帰りの電車で暮れ行く街を眺めた。しばらくして電車が地下に潜ると、ただ野球速報を見ては、一喜一憂した。
家に着くとテレビをつけて野球中継を見た。喉が渇いた。お腹が空いた。そう感じていながら、何もせずにいた。 お昼は日替わり定食なのにのどぐろ焼きだったから、これ以上食べたいものが特に思いつかなかった。
ビールの飲み方も忘れたようにテレビを眺めていた。
友達のラインにお腹が空いたと書き込むと、食えと返信がついた。素直に首肯するとともに、何食べようかとまた同じ思いが頭を巡る。
こういう気分になることがたまにある。 立ち上がって財布を持ってお店に行けば、何か買うのはわかっている。
6回裏まで終わった時に徐に立ち上がってコンビニへ向かった。
呆気ないものだった。夕食を済ませ、8回の表の攻撃を僕は見ていた。