青々・山下公園・北京ダック
2020/07/24
青々(Petrichor)
昨夜湯船に使った体は、朝のアラームを聞き流してしまうほど穏やかに、体を休める準備ができていたのだろう。 10時になってようやく体を起こし、僕の休日が始まった。
乾いた土を撫でて、今日は部屋の観葉植物に水を上げることから始めることにした。
乾いた土に水を注ぐと、まるでサイダーをコップに注いだような音がする。染み渡っていく様を眺めながら、また大きくなるのかなあと思い巡らす。次第に部屋全体に瑞々しい香りが充満してくると、夕立が上がった後の爽やかな気分になった。
快晴とは言えない空を窓から眺めながら、早く梅雨が明けないかなあと願った。
山下公園(Park at Yokohama)
植物への水やりをするときはエプロンをつける。衣装を身につけたようで、気持ちが整う。 水やりが終わっても何となくつけていて、そのままなくなっていた日用品の買い足しに薬局へ向かった。
近所にあるパフェのお店に行列ができていることを確認すると、わかっていても今日が休日であることを強く実感した。近所にあるお店ほど、行こうと思っていてもなかなか足が向かないのはどうしてだろう。
薬局につくと欲しいものだけを速やかに手に取り、レジに並んだ。一人暮らしが長くなって、余計な買い物は自然としなくなった。
買い終わって適当にご飯を食べて家に戻ろうとしたその時、スマホを手に取って友達が横浜にいることを知った。つい先日まで入院していて、それで街に出たかったようだ。
迷いはなかった。
気がつくと品川駅で都営浅草線が京急路線に乗り入れて蒲田へと向かう景色を眺めていた。 何度か停車し、外に出て歩き、汗を拭った。氷川丸を眺めながら、中華料理屋で北京ダックを食べていると連絡をもらった。
エプロン姿のまま、横浜の街へと足を踏み入れた。時々吹く浜風が汗を乾かした。
北京ダック(Peking duck)
休みの日に会社の人と出かける話をたまに聞くが、イメージしている姿が接待の様相を呈しているためか印象が良くない。 どうしてそうまでして会社に尽くすのかという発想があるのだ。
タピオカミルクティーを片手に歩く若者を見ながら、休みの日こそ仕事からは離れてリフレッシュしたいよなと、意味もなく自分の気持ちを確かめた。
中華料理屋に着くと、すでにいろんなものを注文したのだろう、机の上には大小様々な皿が並んでいた。胡麻団子が一つだけあることが友人達の満腹度を伝えてくれている。
北京ダックが美味しかったらしい。流暢に話す友達の様子を見ていると、入院していた名残のようなものはまるで感じられなかった。
すぐに店を出ると、どうやらタピオカミルクティーが飲みたいようで、店を探す。 何気なく歩きながら昨日までのことを訥々と話す友達の姿がなぜか印象的だった。
もちろんその後タピオカミルクティーを飲んで、さらにはコーヒーまで飲んでたくさんのことを話したのだが、楽しかったからか一瞬のことのようで、気がついたときには僕は自分の家に戻っていて横浜ベイスターズの試合を見ていた。キャプテン佐野がサヨナラ逆転満塁本塁打を打つと、今日一日見た様々な青色が綺麗なグラデーションになって繋がった。