なおぼうけん

日々を探検したり、掘り下げていきます。

咖喱・羽根・糸

2020/08/18

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咖喱(Curry)

適当に布団に横になったのだろうと気がついた時にはもう遅く、首の痛みが少しでもあると、ああこれがずっと続んだなあと気を落とした。 案の定昼過ぎには頭痛に変わっていて、1日を棒に振ることになるのである。

頭痛には勝てない。頭が痛い時は何もやる気が起きない。

額に手を当てると熱帯びている様に感じ、熱を測る。部屋の空を眺めていると、落ち着いてくるからか熱がなくなっていく様な気持ちになった。 小さい頃、これで熱がなくなると学校が休みにならないから困ると思って、無意味に体の力を入れたことがあったのを思い出した。

熱はなかった。額なんて良い時も悪い時もろくに触るものじゃないから、手の感触がまるで当てにならない。

この頭痛も引越しのついでにどこかに捨てていければ良いのに。 布団に倒れ込みながら、空になったお茶のペットボトルをじっと見つめた。

羽根(Wing)

腕を前に出さないで何かをすることがほとんどないから、肩甲骨周りが硬くなって頭痛が起きる。 バーベルを担いでいた頃はここが自然とほぐれていたみたいで、あれは筋トレ以上の効果があったのかもしれないと思案していた。

その頃には夕方になって、窓の外が暗くなっているのに気づいていたけれど、カーテンを閉めるのも億劫になっていた。

ら、ららランドセルは、て、てて天使の羽。そう口ずさむほどには憔悴していた。仕事をやめて布団に横になると、もうこのまま朝を迎えるのだとわかった。 夕ご飯も食べる気にならない。水を口にして、布団に戻る。

楽になる姿勢を探しながら、世闇に沈む天井を仰いだ。熱気を帯びる身体に少しだけ恐怖を覚えた。

糸(Thread)

少し寝ると、喉が乾いて目が覚めた。夜起きて、起きたがために眠れなくなるところまでがこの頭痛との戦いだ。

いよいよ発症したのではなかろうか、違うのか。偏執が部屋に満ちていった。 この部屋でこの感覚になるのは何度目だろう。ここ最近は月に1度はかかっていて、巷で痛み止めを飲んでいる人の気持ちもそろそろわかりそうな気がしていた。

これだけ周期的に紡がれていくと、事前の対策よりも事後の対応の方に目がいくものだ。

無理をするのは良くないと学べれば良かったのに。

タイムマシンで遊んで良いよと言われたら、10年前に言ってその点だけを伝えて来ようかと思いながら、目を閉じた。 どんな夢を見よう。過去のシーンを想像することもなく、ただ今から起きそうな、邪な桃源郷の様なものに憧れながら、静かに気持ちを整えていった。