なおぼうけん

日々を探検したり、掘り下げていきます。

ベッドの上・1LDK・オープンカフェ

2020/07/15

ベッドの上(On the bed)

一度何かを操作したような感覚が手に微かに残ったまま、目を開いた。9時15分、少し寝過ぎたと気づいた朝は、元気だけどちょっと気怠い。

慌てて布団から出て本や文房具を踏まないように避けて歩く。 狭い部屋に少しうんざりしてきた。

パンをオーブンに入れて焼いている間、そういえば昨日は多部未華子のドラマを見逃したんだったと思いスマホを手に取る。 最近は見逃し配信が簡単に見れるので便利だ。

ソファに座り、焼いたパンを食べながらドラマを見る。相変わらずドラマの中の多部未華子の部屋は汚い。ベッドの上にものを置いて、ろくに使わないのはなかなかできることじゃない。

ふと見上げて自分のベッドを見る。バランスボールが置いてあって、あれでは足が窮屈そうだ、とまるで人事のように見ていた。

さっきまで気持ちよく寝ていた記憶が、そうでもないよと教えてくれた。

1LDK(Ideal layout)

いつか引越しをするなら1LDKが良い。 1人で住むには、広過ぎてもダメだからだ。掃除、孤独感。

思っているより壁の圧に支えられながら生きているものだ。

今住んでいる街にはかなり慣れてしまっていて、行きつけの居酒屋や、カフェだってある。 整骨院もスーパーも行きつけという雰囲気があって、店員さんの姿を見て不思議と安堵することもある。

理想の部屋に住みたいけれど、街の配置がいつの間にか理想的な状態になっているのだ。

一度得た関係性から離れて、同じものを得ることは2度とないだろう。

後ろ髪惹かれる思いが引越しの決断を遮っている。

オープンカフェ(Sidewalk cafe)

住んでいる街は元来、深川という大きな地域名称で呼ばれていた土地だ。 いつの間にかカフェの街になった清澄白河、江戸から続く商業地域門前仲町、火災による延焼被害を最小にすべく、材木の集積場として機能した木場。 茅場町や亀戸、豊洲地域も含まれたそうだ。

発展を続けるこの土地では、店の入れ替えが多い。 昨日までレストランだと思っていた場所が、気づいた時にはオープンカフェになっている。 不思議と新規に開くお店の雰囲気が木の温かみを活かした作りになっているのは木材産業が栄えた歴史を再認識した形なのだと思う。

東陽町には吉原に次ぐ遊郭があったというから驚きだ。カフェー建築が立ち並び、その当時は煌びやかな光を放っていたのだろう。 そのあたりを散歩しながら、そういう過去があったと感じたことがない。

何かを断ち切ったり、実は気付いていないだけで連綿と続いていたり、やめたつもりがそこにストーリーを見出してしまったり。

そこでコーヒーを飲みながら話したことから始まって、何かが変わる。どうありたいかを求めて。

この街から去る時、僕にはどういう繋がりが生まれるのだろう。

バランスボールを避け、布団に入り込んだ。