窓に映る
書き出し
薄明かりの時間に目を覚ます。まだもう少し、そう思いながら閉じていく目蓋は朝の灯りを体に残していく。ほんの僅かな、今日という1日からの逃避行が始まる。虚ろになりゆく意識の中で、やろうと考えていたことが水のように、意識の中を遠くに向かって、流れていく。
青白い光が差し込む窓辺がそこにあるような気がする。気をたしかにしようとする思いが部屋の中を駆け巡る。目を閉じれば時間が止まってくれるような気がする。目を開くと、手の中で通知の数が増えているのが見える。目を閉じる。このループが夢心地とはいえず、もう休むほうが疲れるまでそれを繰り返す。陳腐な願いはやはり今年も、一つも叶わない。
顔を洗ってから窓の外を眺めた。師走の空は青く澄んでいて、それがむしろ僕をより一層寂しくさせた。