なおぼうけん

日々を探検したり、掘り下げていきます。

ホワイトチョコレート・トナー・挨拶

2020/08/14

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ホワイトチョコレート(White chocolate)

白いダースを一つ食べたら作業に取り掛かろう。そう決めてからかれこれ4つ食べ続けた。やがて12個全て食べ終わって、喉が乾いて水を飲みに行く。 そんな時に感じるのは罪悪感というレッテルの貼られた満足感だ。絶対にAIは真似できない。

22の時はそんなことばかりやって、煙草を吸い、ないはずの暇を潰していた。歳を取ってそういうことをしなくなったかと言われると、そういうことをする元気もなくなっただけのように感じる。下手な考え休むに似たり。

この紅茶を飲んだらもうひと頑張りしよう。

大学の踊り場でそう決心して教室に戻り、PCを少し触った。海外の野球の結果が気になって、スマホを取り出したけれど、何かを思い出したようにすぐにしまった。

トナー(Toner)

紙が詰まってどうしたらいいかわからない、という言葉を耳にしたのは久しぶりだった。 8年は聞いていない。

普通に暮らす分には何ら困らないレベルにまで進化した印刷業界の努力の結晶。トナーを交換時期がいつまでも近づいているプリンターなどもうないのだろうか。

たくさんの論文を印刷しては読んだり、読まなかったり。かつての研究生活は真面目に怠惰だった。雑草が生えぬように庭を管理し、何も植えずに、それをただ眺めていた。

いつか植える花がくると信じていたのかもしれない。

そう思いながら咲いたかもしれない花の芽まで摘んでいたのかもしれない。

挨拶(Greeting)

石の香や夏草赤く露暑し。こう詠んだ芭蕉の句がある。 どういう意味かがいまいちわからないけれど、石・夏・暑いだけ拾って、今まさに感じている気持ちに似ていると勝手な解釈をしていた。

あまりに暑い。汗を掻かぬようにと慎重に移動していると、足早に年配の方が僕の横を通り過ぎていく。電車を待っていても、まるで僕などいなかったように乗り込んでいく。

電車に乗る。あまりの涼しさに快適な一方で、暑さと冷えを繰り返した疲れがどっと押し寄せてきた。 本を取り出す気になれず、窓の外を眺める。そういう逆らわない乗り方が心地よく、疲れを癒してくれる。

電車を降りる。背の小さいおじさんが若い女性に向かって勢いよく歩き、女性はそれを軽やかに躱した。どこか慣れのようなものを感じ、暗鬱とした気持ちになる。 その直後目の前におじさんが来たけれど、僕には来ず、むしろ避けていった。どこか慣れのようなものを感じた。

雨が止んだ後の夕焼けが綺麗だった。週末を過ごす人々がその光に照らされながら、ある人は立っていて、ある人は歩いていた。 美しい色合いの中で、彼らのくすんだ色だけが異質で、際立っていた。

きっと何かがあったのだ。そうとしか収められない。