2020/07/10 夏休み・入道雲・ガードレール
今日何があった?
夏休み(It is no use crying over spilt milk)
今も大学生ではあるけれど、かつて大学生だった頃は時がゆっくりと流れていたように思う。 当時は激しく流れていたように感じたけれど、それはただ刺激が強かっただけかもしれない。 当時の今頃はテスト勉強をしていた。
深夜0時。灰皿には煙草が3、4本転がっていた。マクドナルドの店内BGMは不思議と飽きない。 音楽の片隅で、ただ楽しそうに話しているグループが少しだけ羨ましかった。 1時を過ぎるともう集中がもたなくなって、店を出た。
生温い風が体にまとわりついた。
原付に跨り、青葉通りを駆ける。明日はアルバイト、勉強は8時までしかできない。
テストが終わって一息つく、夏がやってきて、部活に励み、秋がやってくる。 「今年はいつ帰ってくるの?」と聞く母のメールも、一度開いて、閉じた。
今年は冬に戻るから。それだけ返信し、何かを信じて、僕は何処かを走っていた。 ゆったりと。
入道雲(Cumulonimbus)
梅雨が明けると、外にいるだけで汗ばむ、灼熱の日々がやってくる。 空は青くて、暑いのが気持ちいいとは言えないけれど、不思議と気持ちは湧き上がる。
遠くで白い雲が大きく盛り上がっている。
この数年、ぼんやりと夏を過ごしてきた。週末は暑気払いのビール、二日酔いを覚ます街歩き、クーラーの効いた部屋で映画。 起きるまで寝る。 長期連休のお出かけ先だけを考える。それが過ぎ去ったら、少し気を落とす。
取り戻そうと、お酒を飲む。何かやらないとダメかな、と少し新しいことを始める。
生きている実感はあった。ただどうしてか、何かに追われているような不思議な焦燥感が心に押し寄せては、見ないようにしていた。 回り道をしている中で、何かがゆっくりと膨らんでいく。
綺麗なものとしてだけ見たくて、僕はそれに近づく事もなくただ眺めていた。
ガードレール(Guardrail)
車酔いをしやすかった小学生の頃は、窓の外を眺めてやり過ごしていた。 遠くの景色は動かないのに、近くにある銀色のガードレールは捉える事もできないほど速く動いていて、それが不思議だった。 そしてそれを見れば見るほど、目蓋が重くなっていった。
目を閉じてしばらく経つと、大きな立方体に囲まれていた。ビル街の間のような景色。小さい頃ビル街見たことがないから、森で大きな石を見つけたときのような感覚だった。
しばらくすると手や足が自分のものではないような感覚に変わっていく。自分の体から意識だけが離れていく、そんな感覚。
目を覚ますと、山間の道は過ぎて街に近づいていた。ガードレールの色が白に変わっている。 手足は自由に動く。自分の体で、何の問題もない。
まるで幽体離脱をしているようなエピソードだけれど、僕の印象ではゾーンに入っているときの感覚に近い。
どうして高速道路でゾーンに入っているのかはわからない。多分、車酔いを避ける集中力が備わっていたのだろう。
何かのルーツになっているような気がしたけれど、思いつかなかった。