クラフトボス・5秒・退屈
2020/07/17
クラフトボス(Favorite bottled tea)
プレゼン資料を直し、プログラムを書いては直す。苦手なことに取り組んでいる時ほど、原点に立ち返るような質問を自分に投げてしまう。
「なんでこんなことやっているんだろう」
正午、金曜も折り返し地点まで来たところで「今日は外食にしよう」と思って外に出た。そう思うときは大概、かなり疲れている。
いつもの居酒屋に入ると、店員さんがおしぼりをくれた。いつものですね、ということを「唐揚げ定食ですね」という言葉に乗せて折り返してくれた。 このやり取りだけでも気分がすっきりするところが慣れた店のいいところだ。
程なく唐揚げ定食がきて、最近は毎日唐揚げ定食を出しているだけあって唐揚げがおいしくなってきているな、と気付いた。
店を出て家に向かう。途中のコンビニでクラフトボスの紅茶を買い、仕事机の上に置いた。ログインするといくつかメールが来ていて、あとは資料とプログラムがさっきのままだ。 焦れるとはこういう些細なことも指していうのだろう。
なんとなく目を背けたくなってスマホを取り出す。仕事机に目をやると、滴がボトルを伝っていた。
5秒(5 seconds)
動画が始まる前の5秒間はいやに長く感じるものだ。こんなところによく広告を出すものだとしばしば思う。茂みの中をかき分ける時にかかずらわる木々のように、鬱陶しいと思われるに違いないのに。
そうして動画が始まると、画面の向こうでアイドルやお笑い芸人が楽しそうに話している。ただそれを眺めている。 少し経つとまた5秒の広告が入り、また動画が始まる。広い目で見ればリズミカルだけれど、間延びしすぎていてそうは思わない。
そう思った刹那、仕事しようという気になった。
作業を始めたことを知らせるシステムを操作して、徐に取り掛かる。ただ取り掛かった。
5秒ぐらいして、「どうしてここでつまづいているんだろう」と思った。
退屈(Unexciting)
何かがうまくいっていない時に感じる退屈さには、別のことに集中させる恐ろしいほどの力がある。 気がつくと僕は物件情報サイトを閲覧していた。そして物件を見ながら、どうして引っ越しをするんだろうと不思議なことを考えていた。
深川の街は下町文化があるとはいえ、若い情緒があって、居心地は良い。行きつけの店も出来た。 やはり出る理由は部屋の狭さや、何か刺激が欲しいということにあるとしか思えない。
もやもやした気持ちのまま、仕事に戻る。自分が主催の打ち合わせをして、喉が少し枯れる。紅茶を飲んで、手についた滴をシャツで拭った。
やがて定時を迎えると同時に、野球が始まった。 Googleは全球団のファンだと思っているらしく、全試合の開始を通知してくる。開始時刻はわかっているからこの通知はいらない。
巨人に先制され、嫌な気持ちになる。 必ず逆転するぞベイスターズ、と強い気持ちにもなる。
なぜか野球速報があると仕事が捗る。こまめに手元を見たり戦略的な気持ちになるからだろうか、と思うけれど、よくわからない。 ただ野球が身近にあって、それが生活のハリになっているのは間違いなかった。
その時だった。横浜に住もうかなと思ったのは。