なおぼうけん

日々を探検したり、掘り下げていきます。

2020/07/07 カツ丼・ファッション写真・高速バス

今日何があった?

カツ丼(Fried pork bowl)

食券を渡し、蕎麦だけの人が物凄い速さで切り盛りされていくのを眺める。 番号が呼ばれたらお盆を取りに行く。 厚切りのカツを齧って、ご飯を掻きこむ。沢庵を噛んで、味噌汁を飲む。 かけた願いを見据え、視界の下で湯気が立ち込めている。

芸能人が富士そばに行く話をたまにしているけれど、本当かよと思う。でも隣に誰がいたか覚えてる?と言われたら、それはわからない。 小さい頃画面の向こうで動いていた人は別世界にいると思い込んでいる。 今は手元で動く人がどこにいるように思われているのだろう。

特に寛ぐわけでもない立ち食い蕎麦屋。壁を前にして、食べながらいつも似たようなことを考えている気がする。

雨で食べに行くのを断念し、オフィスの居室でコンビニのパスタを食べながらそんなことを想った。

ファッション写真(Fashion snap)

そこを歩く人は皆背筋が伸びていて、シワ一つない素材の良い服と自信を身に纏っている。 六本木の駅を出てオフィスに向かう途中。ここにいることにまだ慣れないでいる。

まじまじと見るわけでもなく、ただ一瞬視界に入るその姿がまるでファッション写真のように映る。 街は雑誌の世界だ。中学時代に本屋さんで見ているときと同じ気持ちでいる。

僕は本を読み続けているのだろうか。

エレベーターが階につき、顔をあげた。久しぶりにきたという感覚もなく、席についてPCを開いた。

高速バス(Vaguely Express)

何度目かわからない、Innocent Starterを聴き終わったところでバスが停車する。暗黙の了解で、15分間の休憩が始まる。 固まった腰と角度のついた棒になった足を伸ばし、煙草を吸うためにバスを出る。 暗闇の中でぼんやりと輝くサービスエリアの姿。不思議と安心する風景だ。

振り返ってバスの位置を確認しながら喫煙所へと向かう。途中目が慣れてきて、ぼんやりとしていたのは眠かったからだと気づく。

煙草を吸うのはその通り「一息つける」からだ。ひと時の中のひと時が特別に感じるから吸う。 お手洗いに行き、お茶を買ってバスに戻る。後2時間もすれば薄暗い朝の東京駅に着く。

東京駅に来るのはこれが3度目だが、いつもビニールシートや足場が組まれている姿を見るだけでどういう駅舎なのか見たことがない。 朝の5時。早く秋葉原に行ってもどうすることもできない。それでも行く。雰囲気だけでも楽しくなりそうだからだ。

薄明るくなる街の様子を山手線から眺めながら、徐々に高揚していくのを感じていた。

2010年、ぼんやりとした理由で、ただ行きたくなってバスに乗り込んだ。僕は若かった。