なおぼうけん

日々を探検したり、掘り下げていきます。

傘をひらく、ひろげる、さす

心と秋の空

なぜ女心と秋の空、などと女性が接頭しているのだろう。アナクロな表現であることに、無自覚で居続けたのだろうか。

ふとそんなことを思いながら、ぽつりぽつりと降り出した雨をしのぐように、着ていたパーカーのフードを被った。近くの薬局に行くだけの僕にはこれぐらいでいい。もうしばらくは歩くのかもしれない、そんな装いの女性が、傘を準備するために近くの建物の軒下に駆け込もうとしていた。

通り過ぎながらその様子を見た。見た、というよりかは目に入ったという方が正しい。鞄から出した傘を、傘を。

この女性はどうする、というのだろう。差す、と言うのだろうか。それとも開く、だろうか。広げるとも言えそうだ。

その時の僕は開く、だと思った。普段使っている傘が折り畳みの傘だったからだ。まず半分に折り畳まれた骨と布の部分を開く映像が脳裏をかすめていた。

まあどうでもいいことだろう。表現はすぐに移ろう。この季節や、秋の空のように。