なおぼうけん

日々を探検したり、掘り下げていきます。

照りつける日差しの中で

残暑は、もう終わりました

もう少しすれば、きっと金木犀の香りが前から訪れるだろう。背中を伝う汗がTシャツを湿らせる。コンビニの冷風が当たった。 心地の良さがすぐに寒気へと変わる時、季節の厳しさを改めて想う。 夏は店内で、冬は店外で感じることだった。 市役所の場所をスマホで確認し、すぐに店を後にした。

寒気がする、なんて、贅沢な悩みだった。それほどに日差しと熱風でごった返している外は厳しかった。 イヤホンを耳に入れる。 横断歩道では正面の人と目が合う気がして、そのやり場を探すようにスマホを持ち上げた。

大勢の人に囲まれながら、そこに自分の世界を創り出す。 自分の築き上げた精神世界や、ソーシャルメディアに帰属する感覚が僕を支配した。移動は少しハードになっただけの、メディアとの接触時間だった。

「転入の手続きは区の管轄ですので、区役所に行っていただけますか?」

入るときには立派だと感心した建物も、出るときにはその立派さが鼻についた。 ビルの中に渦巻く、大人になりきれない感情。

区役所へ向かう交差点で、紙袋を持ったビジネスマンを見かけた。 ハーバード式やまとめ大全集といった、正解の在りそうな本がそこに詰め込まれていた。 自分の需要にあう情報の優先順位が高まる。きっとこの人の欲するところは言葉になっていたのだろう。 あるいは読めと誰かに言われたのか。

言葉にする前の発見を、僕たちはどこから得ているのだろう。