なおぼうけん

日々を探検したり、掘り下げていきます。

大根おろし

秋は夕暮れ

丁寧におろしても、土から顔を出す、葉の付いた方は辛みが少ない。突き進む力強い部分がピリッとしているのか、などと考えながら街ゆく人を見ていると、ふと青春時代の自分はそうではなかったかと、気がついた。

思い出すのも恥ずかしい話だ。ふと溢れる笑みに、冷たい秋の風があたった。

風が冬らしい澄み方をしてきたようだ。どことなく周囲の音がクリアに聞こえて、通りゆく人が足早に移動しているように感じる。

そうして僕は、乗り込んだ電車の閉まるドアの音を聞いていた。ゆっくりと走り出す電車の音はいつも変わらないはずなのに、なぜか秋らしさを感じていた。