誘い水、石を穿つ
秋は夕暮れ
計画を立てた時に思い浮かべた筋書きの中で輝く自分の動きは軽やかで、無駄がない。
明日までに片付ければ、明後日からこの作業に取り掛かることができる。
煌めきがぱっと心を明るくした。だが朝になってみれば、それは線香のように潰えていた。
そして気が付くと目の前に、これを片付けたら明日はあれをやらなければならない、という義務感がいた。 潤いのない言葉が疲労感となって重くのしかかる。
まるで石のように、根性は固まってしまっていた。
一日をかけてただゆっくりと、そして少しずつ灯る火を消さぬように、滴をそこにかける。 柔らかくするように。
次第に柔らかくなっていき、やがて急に堰を切ったように気持ちが、色あせたかつてのやる気までもが溢れ出す。
その思いをまた次の日に向けて器に貯めておくのだ。 その思いを湛える器が割れないように、その水を溢さぬように。