なおぼうけん

日々を探検したり、掘り下げていきます。

つり革・見る目・焼肉

2020/07/30

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つり革(Strap)

少しだけ左右に揺れる車内、窓の外を眺めていると、見たことがないはずなのに、既視感を覚えた。それぐらい窓の外はよく見ていないものだ。

時折トンネルに入るたびに窓に映る自分や隣にいる人が見えて、見るつもりなんてなかったのに目が合う。少しだけ居心地が悪い気持ちになるけれど、しょうがない。

突如車内にアラーム音が鳴り響くと、電車は急停車した。あと少しで下北沢というところ、アスファルトの壁だけが窓の外に広がった。 近くに座る会社員らしき人が寝坊したので遅れると電話しているのを見て、誠実さを感じた一方、そう言わされているところはないだろうかと心が少しざわついた。

つり革が掛かっているバーを握る手が少し冷えてきた。ゆっくりと走り始めた電車が、すぐに下北沢に着いた。

見る目(Judging of character)

小田急が新宿まで着くと、徐に中央線に乗り換えた。何にせよ帰れれば良いと思っているときは、それが最短経路かどうかをあまり気にしない。

乗り込んだ車内では中学生の様な、それとももう成人間近の様な、全く想像がつかないけれど若々しい女性が話をしていた。 最近そういう姿を街で見ることがなかったから、若い人があいも変わらず元気でいるところを見て少しホッとした。声が大きいから内容が頭に入ってくるが、内容も若々しい。 パパやママの不満だった。

シアトルのおばあちゃん家というワードが出てきたときは思わず目を見張った。 歴史の教科書で勉強した戦争などの事例に対しどのように感じ、そしてそれが今のどういった体験に似ているかという話もし始めると、只者ではない雰囲気すら感じた。

東京駅に着くと丸の内口を出て、バス乗り場に向かった。年配の女性が待っているバス停を見て、もうすぐ来るのかもしれないと鷹をくくり、追従するように並んだ。

待つ間にスマートフォンを取り出し、SNSを見た。俗世の有り様と全く異なるかのようなややも下品な世界が少し見えた気がして、そっとポケットにしまった。

焼肉(Barbeque)

上野に着いたのは家を出て30分ほど経ってからのことだ。何事もなかったように酒を飲み、ものを売り買いしていて、たくましい街である。 平日の夕方はまだ会社員が多く、手にしている鞄があまり丸みを帯びていない。色もダークトーンだ。

日が暮れ始めると、梅雨空で暗かった街が輝きを帯びてきて、それに従うかのように活気が満ちてきた。 何かと気を揉んだ表情をしている人が多かった通りには、どこか華やいだ風が吹いていた。

30分ほど遅れて先輩が到着すると、立ち飲み屋を探した。それでも予約の時間までは余裕があった。

パイナップルサワーを飲みながら最近のことを話した。大漁旗が壁に貼ってあるお店。盛況だとは言えなかったけれど、その一角で酒を交わす僕たちの気持ちは熱くなっていた。

僕はタン塩から食べたいですというと、先輩は、いいね、といってくれた。