なおぼうけん

日々を探検したり、掘り下げていきます。

ビタミンウォーター・ガムの棚・距離感

2020/07/15

ビタミンウォーター(Vitamin and/or citric acid-containing beverage)

スポーツドリンクを選んでいる時、ビタミン入りのものが同じ値段で売っていると「どっちがいいかな」と考えることがある。 大したことのない損得勘定がせっせと仕事している。

時にはその味が好きで選ぶこともある。 昔アクエリアスレモンが好きで、よく粉を買っては水に溶かし、凍らせて学校へ持って行っていた。 あの時は酸っぱくて爽やかで、疲れた体に染み渡るのが良いときっと思っていたと思う。 今は化粧して解釈してしまっていて、それを口にしている間は走り込みが終わったり、休憩時間であることが感じられるからだとしている。

コンビニの飲料ケースを前にした時、漠然と見たときの感覚が変わることはあまりない。 コーヒー、紅茶、コーラ、日本茶、スポーツドリンク、オレンジジュース、エナジードリンク。 何かしらの理由をつけて、どれかを手に取る。大した理由であった試しがない。

新発売のジャスミン茶を手に取り、それを買ってオフィスに戻った。

ガムの棚(Gum Shelf)

出勤したが、外はあいにくの雨。たまにはお昼も外で食べようと思う気持ちも、そこで潰える。 オフィスビルの地下にはスーパーがあるので、そこでお弁当を買うことにした。

アッパークラスの利用するスーパーなので、やや割高なのが気になるけれど、その分お弁当やサラダの選択肢も多い。 すぐに買って戻れば良いのだけれど、思わず選んでしまう。

やはり職場にくるといろんな人がいて、良いことも悪いことも考えてしまうので、お昼休みの間はそういう気持ちをぼんやりと抱えたまま過ごすことになる。 評価をする人、される人。先輩、後輩、同期、関係者。いろんな色素が水の上で漂っている。

ぼんやりとしていると、何者かの足もとがこちらを向いているのに気づいて顔をあげた。 おおよそ3ヶ月ぶりに後輩を見た。元気そうに笑っていて、気づけてよかったと思った。

その後、そそくさとお弁当を選んでレジに並んだ。 2、3人並んでいる後ろでまたぼんやりとガムの棚を見ながら待っていると、視界の角の方で見たことのある足もとが向かってくるのを感じた。

その足もとはどんよりとした色を想像させるものだった。

僕はぼんやりとしたまま、ガムの棚をただずっと見た。何のガムがそこにあったかは覚えていない

距離感(Distance)

駅、オフィスビル、広告、後輩のカラー診断結果、友達の入院、スーパーの半額セール。 いわゆる「普段通りの一日」は本当にいろんなものを目にしている。

ただ車窓を見ていても、地下鉄だから真っ暗とはいえ駅に着いた時はその奥に外壁の塗料や、ガラスに反射する後ろの人、そして自分の姿が重なって見える。 鏡のようだと思うだけで何の不思議もない。

習慣になっていない場所に行く時には、上の方を見て矢印や文字を頼りにその方向や階へと向かう。 何ら気になるところはない。それでも迷うのは僕があまりに何も考えていないからだ。

久しぶりなのに、帰りはいつもの道ではない道を選んで帰る。 少しでも飽きたなと思ったら少しでも飽きていない方の道を選んで帰るやり方自体は何ら変わっていない。

高架下、上裸になってスケートボードをやる人がいて、その脇を通り過ぎる。 避けた方向の脇で、スーツの男性が不審な動きをしていて、思わずじっと見る。 スケートボードの人も少し立ち止まって見ている。特に怪しいわけではないと思って前を向くと、2階建てのアパートが妙に明るい。 なぜか視界に入っている道の選択肢それぞれから、カップルが手を繋いで歩いてきた。 大きさはちょっとずつ違う。

スマホを取り出して野球速報を見ると、ベイスターズが逆転勝ちを決めていて、その速報に被さるように友達の入院1日目の速報が通知されていた。

家に帰り買ってきたお弁当を食べながらいろんなことがあったと1日を振り返る。 ジャスミン茶を買ったシーンはもうどこか遠くにあって、目の前にあるお弁当も次第に遠ざかる。

それらを思い返すと、なんともいえない色や形の1枚の絵のようになる。 そこでの大きさは、小さければ小さいほど過去だというわけではない。

何らかの距離感を感じる。