鞄・ホーム戦・1mm

2020/07/19

鞄（Bag）

考現学というフィールド調査方法がある。その実践課題があって、家の近くの道で調査をしていた。 持っている鞄に関連したテーマで調べてきた。

調査にあたって、変なところに立って人に迷惑をかけてもいけないので事前に下調べをしておいた。むしろ普段目に付くような場所から観測することによる価値もあるだろう。 無難に待ち合わせ場所になっている駅前のあたりを選んだ。状況が状況なので、風通しの良い日陰を選択。大した日陰でもないのに、意外と人が集まるものだと少し驚いた。

外出する際に鞄を持たないでいる人があまりいないようには思っていたけれど、しかしこうしてみると本当にほとんどみんなが持っているものだ。持ってなかったとしても、それは行きの場面だったりして帰りには何かを手提げている。

僕たちは常に何かを運んでいるのだなと思う。 はたと見て当たり前のことを再確認しても、なぜかそれが特別のことのように感じる。

服を隔てて社会と接している、と呟いていた人がいたなと、なぜかその時ふと思い出した。

ホーム戦（Home game）

1時間ほど定点調査を行って、やはり少し疲れた。久しぶりの快晴、うさを晴らすような少しひんやりとした風。そんな気持ちの良い日でも、外にいれば喉が渇く。

最近になって少し行きつけになっているカフェに顔を出した。初めてきたときは1人か2人ぐらいしかいなかったお店が、今やテラス席も人で溢れていた。 カウンター席に腰掛けて、アイスコーヒーを注文する。テーブルが高いから、カウンター席は好きだ。

カウンターの向こうでは忙しなく飲み物の準備をしていて、かなりの頻度で店長さんが確認やフォローを入れている。 そうか、もう7月ともなれば新しい学生のバイトさんも入る頃なんだろうな、と想う。若々しい店員さんが多くて、どこか爽やかだ。

コーヒーが来て、それを飲みながら調査の結果を眺める。ウーバーイーツの鞄がかなりしっかりかけていて、なんとなくその理由がわかる。

こういう休憩の時にやりすぎると肩が凝って頭痛がくることを最近覚えたので、少しだけ見て、そこでやめた。

野球の速報に目を移す。楽天が強い、オリックスは山本が異次元の投球。夜は横浜先発が平良。4連敗を止められるか。

ふとそこで今日の天候を思った。今日横浜スタジアムにいたとしたら、どれほど気持ちがよかっただろう。 必ず連敗を食い止めて欲しい。負け続けたあと取り戻せるほど、今年の夏は長くないのだから。

1mm（Line thickness）

家に戻って大学の課題に取り掛かると、ただ準備をしているだけではわからなかったことが次々と明らかになった。

きちんと設定し、確認したはずの作品が1mmズレている。

あれだけ神経を傾注して作ったのに、と思いつつ、仕方がないのでそれを直す。 次は、次こそはと直す時に、「いつまで次があると思うの？」と語りかける強い何かが脳裏に浮かぶことがあるけれど、今日は大丈夫だった。

あれとうまく付き合うのは難しい。

どうして夏はいつも焦ってしまうのだろう。落ち着いた夏を過ごしたことがない。

何かがずれているような気がしてならない。