なおぼうけん

日々を探検したり、掘り下げていきます。

甘酒・左肩・選択メニュー

2020/07/20

甘酒(Drinkable IV-drip)

19日ぶりに晴天が広がった日曜日から一夜あけた今日は、晴れを引きずったような曇り空が広がっていた。 夏の序盤が過ぎるタイミングに気付くことなんてほとんどないけれど、多分今日がその日なんだろう。

こう暑いと暑気払いがしたくなる。

もうすぐ大暑。二十四節季の1つで、梅雨が明けてとても暑くなるとされる日が来る。週末は土用だから、うのつくものを食べて精力をつける日だ。

時候にあったもの、旬のものを食べることは20代の頃からずっと、努めてやってきたことだ。それだけ幼少期を大事に育てられたのかもしれない。確かに夏を思い返すと、家族で海に行き、帰りにスイカを買って帰った思い出がいつも蘇る。真っ黒になる程日焼けをした父が、車のパンフレットを眺めている姿。思春期真っ只中で口数の少ない姉が、スイカを前にしては相好を崩し、程なく無心で食べ続けていた、あの姿。 母と兄はいつも安定しているので、ある意味季節性がない。

真夏の2人と、温暖湿潤な2人。僕はどちらかといえば真夏の方だろう。

夏が好きなのは、そういう良い思い出があるからなのかもしれない。そういえば小さい頃は海で女子大生にモテていたそうだ。父は息子が話しているのが若い女性だから、流石に近づけなかったらしく、困っていたそうだ。そんな甘い出来事は歳を取ってからはないなあと僕はいうけれど、でもその話をするときの父は、どこか嬉しそうだ。

そういえば江戸の世では暑気払いに、好んで甘酒を飲んだそうだ。コンビニで冷やした甘酒が売ってあるのをたまに見かけるが、そういう伝統があったというわけだ。

かつて喉が乾いたから冷たいものを買ってきてと頼んだ友達が冷やし甘酒を買ってきた時には、つい文句を言ったものだ。

次は飲んでみよう。

左肩(Left shoulder)

夏はそう涼しげな、爽やかな思い出ばかりでは終われない。うだるような暑さの中、それでも歩いて目的地を目指す。そんな記憶が毎年紡がれるものだ。

1時間ほど、外を歩いていた。暑い。自動販売機でピーチティーを買って、それを半分ほど一息で飲み干した。暑い。

前を見ると、会社員らしい背広をきた姿の男性が歩いていた。いくら会社の顔として表を歩かざるをないとはいえ、夏に背広は酷である。

ペットボトルのキャップを開いて再び口をつけた。その時、リュックを背負っている人が横を通り過ぎた。どんどん遠ざかっていく。 姿が小さくなっていくのを、少しだけ眺めていた。

その人はやがて、右肩のストラップを外した。少し左肩がいかったまま、駅へと消えていった。

選択メニュー(Favorite lunch menu)

もう屋外のプールは営業を始めているそうだ。そう聞くと確かにもうそんな季節、そして7月も終わりに差し掛かっているのだ。 あと4ヶ月もすれば今年は終わり。今年はもう、いわゆる普通と呼んでいた日常から変貌を遂げた期間の方が長くなった。

夏休みを目前に控えた時期は、給食のメニューも少し楽しい演出がされていたなかっただろうか、と思い出していた。 選択メニューのことだ。

サバの味噌煮、カレー、味噌ラーメン、ハンバーグ、レアチーズケーキ。何がどう選択できたかを覚えていないけれど、何を食べるかを決めることなんてほとんどなかった義務教育の頃、あんなに新鮮なことはそうなかった。

やっぱり夏は楽しいことが多い。そう言ってもしょうがないのだけど。

母にそういうと、いつも食べたいものは何と聞いて答えていたのはあなたよと言われたことも思い出したけど、それは忘れることにした。

夏はとても都合がいい。