なおぼうけん

日々を探検したり、掘り下げていきます。

立ち上がるもの

前を見て歩いた。それを思い出そうとした。 ところが前に何があったのか、一向に浮かんでこない。

わたしは、陽炎を見た。 わたしは、陽炎を見たのだろうか。

スマートフォンを取り出した。 覗き見た仮想空間にいる友達の呟き、知らない人が騒いでいるかのような、炎上騒ぎを見た。 ところが何を目にしたのか、一向に浮かんでこない。

沈思黙考するわたし自身を見つめる目。 澄んだ心の中で、何をも見ているようで、何をも見ていない目。

わたしの中に、陽炎を見た。

わたしはいまゆっくりと、立ち上がる。

擦り切れていって、わたしそのものが少しずつ、いま。

そんなつもり

目線がどんどん高くなっていくにつれ、見下ろすようになった。 見守る気持ちを大事にしようと思っていたのに、本当に大事にしていたのは、見守ることができる私だった。

そんな私を今ゆっくりと見下ろしていた。

今ゆっくりと山に入ろうとする人に勇気を持って話しかけようとする。 その勇気の実は、山を降りようとする私への慰めだった。

そんな私を今ゆっくりと見下ろしていた。

わたしをみてくれる人がいた。 いつの間にかみてくれなくなってきたから、もっとみてくれるように、綺麗に、大きく咲こうとした。

そんなわたしを今ゆっくりと見下ろしていた。

わたしに話しかけてくれる人がいた。 頑張ってみたけれど難しいから気をつけたほうがいい、と言ってくれた。わたしはここよりも厳しい山を、昨日乗り越えてきた。

そんなわたしを今ゆっくりと見下ろしていた。

時間が経ったのか

暗い時にはあかりの落ちているところを探して歩き、明るい時には暗いあかりの落ちているところを探して歩く。

立ち止まった時に誰かが見ていたら、明るいところがいい人もいれば、暗がりに隠れている方が心地いい人もいる。

どんなあかりがいいかいつも探している。そう考えているうちに、あかりを消して布団に入る。

手で引いたか、スイッチを押したか、話しかけたか、それとも